政府が経済・財政再生計画の新たな行程表を明らかにしました。行程表では今年19年から21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、19年度は雇用改革の年度とし、「65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けたこれまでの検討に踏まえ、働く高齢者の増加をにらみ、年金受給の開始時期を柔軟に選べるよう年金改革も推し進める」としています。
現在の法律では従業員が希望すれば65歳までの継続雇用が義務付けられていますが、今後は継続雇用の年齢を延長していく方向です。従って企業は70歳まで従業員を雇用する準備を始める時がきたのではないかと思います。
継続雇用年齢引上げは、年金受給開始年齢の変更の議論と同時に進められている事からも分かるとおり、政府が日本の社会保障制度改革の負担を企業に求めていると受取れます。しかし、一方で日本の健康寿命は世界一であり、2007年に生まれた子供は100歳まで生きる確率が50%を超えると言われています。又、いくつまで働きたいといったアンケートに対しても、調査機関により異なりますが、70歳以上と回答する人が約20%と65歳までと回答する人と変わらないという結果が多く、就労意欲も高いといえます。さらに少子化による労働力不足も考慮すると、100歳まで寿命がある事を前提にした健全な次世代社会を築くためには、70歳雇用が必要な時期を迎えており、企業もその準備を行っていく事が重要と考えます。
では、何から準備するかということになりますが、就業規則で継続雇用年齢を変更する等の社内制度の整備も必要ですが、重要なのは高齢になっても活躍できる人材を育成することです。例えば高齢者雇用推進ガイドライン(一般社団法人情報サービス産業協会)は企業からのアンケートを基に各世代で活躍している「活躍人材」の行動特性を、30代では「試行錯誤力」「情報取捨選択力」40代で「挑戦力」、「状況対応力」50代では「対人折衝能力」と定義し、長期に渡って活躍できる人材を育成する為に年代別に教育課題を明確にしています。
このように世代別に求められる行動特性を自社で定義する等し、高齢になっても活躍してもらう事を前提に、人材育成を今から整備していくことが大事ではないかと思います。