現在、出入国管理法改正案が参院で審議されており、与党は会期内成立を目指しています。
この法案は、基本的に外国人労働者の受け入れ拡大を目指すためのものです。
具体的に改正案では、現在ある技能実習制度の他に特定技能1号と2号の2つの在留資格が新設されます。
特定技能1号は建設、農業など人手不足が深刻な14の業種を対象に、一定の日本語力や技能があれば得られる資格で、在留期間は5年となっています。また、3年以上の技能実習を経た外国人に対して、特定技能1号の試験を免除し、技能実習期間と特定技能1号の資格で最長10年の在留が可能になります。
特定技能2号は、試験をパスすることによって熟練した技能を持つ外国人に在留資格の取得、更新がおこなわれます。特定2号の資格が付与された外国人には家族の帯同が可能で、在留期間は永住許可に必要な10年にカウントする事ができ外国人労働者の確保に繋がります。
しかしながら、現在の技能実習制度において、実習生に違法な低賃金、長時間労働で就労させる企業が存在し、実習生が失踪するという事件が問題となっていることや、外国人を受け入れることが治安の悪化に繋がる等懸念が多く、これに対する対応策が十分に議論されていないため、今国会での法案成立は時期尚早という声が多くあがっています。
しかし、現在日本は少子化に加え超高齢化社会に突入しようとしています。生産活動の中核となる生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は、2015年には7,728万2千人存在していますが、2030年においては6,875万4千人と852万8千人の減少が見込まれています。生産年齢人口が減少すると労働力不足だけでなく、消費も減少し、経済が縮小に向かうため、労働力人口の確保は火急の課題です。従って外国人労働者への門戸を拡大する入管法改正はこの課題解決のため早急に取り組む必要があると考えます。
そこでこの緊急かつ必要な取組の成功の可否は「現地育成」「現地採用」が重要になると思います。日本の企業文化を、新卒を雇うように丁寧に教育し、選別する必要があります。こうした手間を企業ではなく政府が各地に教育機関を設置する等し、日本で働く人材を発掘していく仕組みが必要ではないかと考えます。