2021.05.10

統治機能不全

 今年も昨年同様ゴールデンウイークの行楽シーズンは沈んだ年であった。国民が大手を振って楽しめない日々が続いているからだ。新型コロナウイルス菌の蔓延による感染患者の増大そしてその治療体制の逼迫によるものだけであろうか?一定のエリアでは緊急事態宣言を繰り返し発出して国民の行動を制限しているが、該当地域でない国民は自由に行動している。北海道では東京オリンピックマラソンのテスト大会まで行われている。その一方で観戦は自粛を呼びかけ市民ランナーは参加できずにいるありさまである。昨年のゴールデンウイークとの違いは、随分と人の移動があったことや、行楽地に人の姿がかなり増えたことなどである。それでも国民は不平不満のストレスの中にある。国が行う新型コロナウイルス感染予防対策で、国民一人一人に対する自由制限に極めて広い格差があるからである。私権の制限をかけるなら正規な法律の下で実施してもらいたい。一定のエリアの飲食店やホテル旅館アミューズメント施設など生活がかかっていても業務出来ないでいる。必死で耐えている人たちに反し、フルオープンではないにしても活動している。東京オリンピック開催についても国民感情と実施主体の東京都やJOCなどとは乖離が甚だしい。何が何でもオリンピックをやりたい特権階級の国民と、早く平穏な暮らしを取り戻したいと願う日本国民とは深い溝が出来ている。国の行うことに国民は信頼し従ってきた。しかし現在どうだろうか?47都道府県の首長はそれぞれに主張する。がしかし権限とお金が無い。だから国にお伺いを立てなければならない。しかし国のこの統治機能も声の大きい首長の言うことを聞き始めている。その事が悪いとは言わないが、国の在り方そのものが機能していないということを露呈していると考える。今の日本は一体誰が何処で統治しているのか不安感と恐怖感を感じずにはいられない。一昔前は官僚が確りと計画行政を行ってきた。選挙制度が中選挙区制から小選挙区制にかわったころから政治の統治機能は脆弱化したのではないか。そしてその権力に窮するために官僚機能もまた衰退し忖度・・・忖度と末期症状が露呈してきたのではないか。国民はこんな環境下だからこそ、自分で考え、国によって元来持ち合わせた自由を奪われないよう前に進むしかないのではなかろうか。

日本国民の生命と財産を守ることが国の最優先使命のはずが、東京オリンピック開催と天秤にかけている報道を見聞きするとうんざりする。日本国民にとって東京オリンピックは夢や希望でなくてはならないはずなのに、そうは思えなくなっている国民が多数存在する。其処には統治機能の歪みが存在するからであろう。

有限会社レイバー経営者コラム
有限会社レイバー経営者コラム「統治機能不全」