2022.04.10

物価高騰と真逆の年金額

 本年4月からあらゆる物の価格が引上げられます。生活必需品は概ね全てではないでしょうか。電気・水道・ガス・食料品・日用雑貨品・ガソリン・灯油等すべての経済コストが上昇します。一方で賃金の上昇幅は極めて低く上がったとは言えない。賃金を得て生活する労働力人口は賃金を多く貰える企業に就職するか転職して可処分所得を増やす努力ができる。勿論当人のスキルやその取得のための勤勉は必要になる。

  年金受給者は60歳以降の人口で概ね65歳以降の方々が受給している。高齢化し肉体的精神 的にも加齢による心身の低下は否めない現実がある。その為に老後の生活の支えとして、年金制度がある。この制度による給付額の決定は賃金スライドと物価スライドの視点から上昇下降を分析し、年金生活者の生活水準を維持するよう行われた。しかし、超高齢化少子化社会に突入し、現役世代への保険料負担が重くのしかかり、年金制度自体が窮することになりかねないことから、マクロ経済スライド制度を取り入れた。受益者と負担者のバランスを整えるためである。以前は前述したとおり物価スライドによる年金額への反映を行ってきたが、現在は現役世代の賃金上昇をベースにしたものとなっている。従って、物価が高騰しても労働力人口の賃金上昇が発生しないと年金額は上昇しないということだ。逆に賃金が下がると年金額も下がることになっている。本年4月からの年金受給額は0.4%の減額改定となった。物価が高騰する中で年金額のみの収入のない高齢者にとって、年金額の減額は不安だらけであろう。後期高齢者医療保険料や受診料の負担も上がる中で安心生活の年金制度とは懸け離れたものとなった。以前の物価スライドが適用されれば急激な物価高騰に対して年金額は反映された安心感があった。でも今はない。更にマクロ経済スライドを適用していたにもかかわらず、その実施をしてこなかった省庁と政治家の責任は重い。ツケは年金受給者が負担している。

 最近唐突に出てきた年金受給者への一律5000円給付。何のためか?参議院選挙のためのバラマキか?賃金物価スライドの不足額の穴埋めのためか?どちらにしてもお粗末極まりない。ただ、穴埋めだという志向のもとに発案されたとすれば、年金制度は瓦解しているといわざるを得ない。正にソ連邦が財政破綻した時の年金のありさまを想像する。あの時年金でパン2個しか買えなかった現実があった。急激な物価高騰に対応していないソ連邦の年金制度であった。日本も同じ道をたどるのか?現在4450万人の年金受給者がいる。政府は物価高騰に対する対策をどのような表現で無作為を言葉にするのでしょうか?

有限会社レイバー経営者コラム「不景気」
有限会社レイバー経営者コラム「物価高騰と真逆の年金額」