2022.05.10

危機意識の欠如

 今月5月4日FRBアメリカ連邦準備理事会は米国金利を0.5%引き上げた。市場ではこの引上げはおり込み済みで急激な変化は今のところない。しかし更なる7月・11月と引上げを予定するコメントなどにより市場は大きく動く。但し円高に向かう要素は今のところない。円安は悪影響ではないとする識者もいるが、現実に目を向けると日本の自給率の低さは尋常ではない。食料・工業材料・資源等の輸入物価が円安によって更に高騰する。にもかかわらず国民や経営者の危機意識が稀有なことに危機意識を覚える。30年も前は経営者や国民にギラめく危機意識の感度とハングリー的欲望があった。しかし今はあまり感じない。

 現況を素早くキャッチして先を予見した経営体制を整えてきた。中小企業は特にアンテナを立てて情報を掴む努力をして来た。経済の失われた30年と例えられるが、余りにも失われたものが大きいのではないだろうか。国民も欲望を持ち企業も利益を追求し目的を達成するために考え研究し勉強した。今、国民は希望を持たなくなった。夢を持たなくなった。お金が無くなれば自治体や政府にすがり生活保障を権利だと主張するようになった。創業開業して独立していくための資金や技術の研鑽などは自らの努力より国の助成金や自治体の補助金に縋るようになった。リスクを冒さない自立しない責任を取れない人になった。究極は国や自治体のかじ取りをする政治家や行政組織であろう。責任を取らない集団であろう。国民も高齢化してお金が配られれば危機の一時しのぎだと納得してしまう。決して満足しているとは考えられないが、国民一人が大声上げても何も出来ないと嫌悪感に苛まれ虚脱感を感じる。高齢者社会は全てのもの(衣・食・住・サービス)が縮小していく事は20年も前につぶやいた。日本は今、需給のギャップが大きく供給過多になっている。即ち在庫があり輸入価格の転嫁が始まるまでのタイムラグが発生している。市場にモノが無くなるという現実はいまだ目にしない。だからこそ国民は何も感じない。ゆでガエルのように既に鍋の水は湯と化しているのに気づかない。少しでも早く気付いてほしい。世界では紛争がウクライナVSロシアで起こっている。日本国民は対岸の火事のように傍観し、マスコミはまるでワイドショーのように連日報道している。何か狂って無いかと考える人達はいないのだろうかと危惧する。資源高輸入物価高騰による日本人への影響や円安による住宅ローンなどの引き上げなど国民一人ひとりの対応策などを報道する局などは全くない。政治家は参議院選挙の就職活動に躍起になり日本国・日本人のあるべき姿の議論などしない。

 既に来るべきところまで来てしまった感は否めない。これから始まる円安・物価高騰・年金保険制度などの崩壊・金融機関の破綻・日本財政の破綻・自治体の破綻・路頭に迷う国民などが浮かんでくる。早くに予見し準備していた人の努力が実るタイミングでもあろうかと目に浮かぶ。危機意識を持ちましょう。欲を持ちましょう。

有限会社レイバー経営者コラム
有限会社レイバー経営者コラム「危機意識の欠如」