4月29日日経新聞トップ「有事の食料確保法整備へ」が掲載された。日本の食料自給率はカロリーベースで38%とG7で最も低い。政府は紛争による輸入停止や凶作で食料供給が滞る事態に備えるとしている。その為に農家や事業者に穀物の緊急増産や国が売渡を命じるために新法を検討するとしている。又食料価格が暴騰した場合価格統制やスーパーなどでの買い占め防止や流通制限する等も検討するとしている。背景にはロシアのウクライナ侵攻で小麦や肥料の価格高騰があり、台湾海峡を挟んでの有事には輸送船遮断のリスクがあることからだという。詰まるところ日本は外的要因によってのみ政策の転換を行うことが出来ない国であることが理解できる。日本の人口は今後激減2070年には8700万人(国立社会保障研究所26日発表)となる。2027年65歳以上人口は全体の30%を占める。農業従事者は65歳以上の占める割合が高い。この60年間で食料自給率は低下した。有事に限らず日本は国民を自国の農地で生産された物で食べさす事の出来ない国と化し、生産する農家も高齢化し人手がない。このような事態を招いたのは何処に原因があるのだろう。高度経済成長の名の下に工業化進展・サービス業等の台頭へと技術立国日本から観光立国日本へと舵を切り世界第2位の経済大国へとのしあがった。ゴールドジャパン日本人は金持ちだ。金さえあれば何でも買える。使い捨て時代の到来。不動産バブルに沸き熱気を帯び狂乱した空気感が地方も含めて各地で漂った。日本の賃金は高く物価も高く中国人を含む外国人労働者は日本で働いてお金を稼ぎたくてたまらなかった。日本人の意識には中産階級化して海外旅行で大枚をばらまく驕った感覚があっただろう。
処がバブル崩壊とデフレの対策による異次元緩和の金融政策により金融資本家だけが水太りし、生産現場の労働者は目標と目的を見失ったかの如く、政府依存の社会主義国家となり果てたのではないだろうか。社会保険料30%時代消費税10%(社会保障費充当)所得税・住民税10%以上可処分所得は減る一方で欧州のような極めて高い社会保障制度ではなく自力で教育費や医療費を捻出しなければならない。利益を追求しなければその財源はない。しかし政府は国債(借金)を発行して賄うことしか行ってこなかった。様々な利権や既得権に縛られて更に過去の栄光に自惚れて足元を確り見直す事をしてこなかった。しかるに唐突に食料増産を検討するといっても即効できるものではない。
毎年5月連休9反の農地に田植えをする。5年前より行っているが毎年トラブルが発生する。種蒔きから収穫時期まで6か月を要する水稲管理は他の農産物より安易だ。それでも生き物には何が起こるかわからない自然災害にも襲われる。60年間手を付けてこなかった食料自給率政策を急に舵を切る、目先の政策しかないのかと思わせる傲慢な姿勢は、一事にあらず財政政策においても同様の姿勢が今まさに起ころうとしている。私たちは一点だけに捉われず世界全体の経済・金融・人口・政治・地政等の動きから私達企業・個人に何が起ころうとしているのか予見することが大切だと考える。