2023.09.10

円の価値が下がった

 円の価値が下がるとは、これまで1万円で買えたものが2万円出さないと買えなくなったという事だ。電気・水道・ガス・ガソリン・食料品等は益々物価高騰を続けている。企業物価・消費者物価は対前年比で益々上昇し、企業の製造原価は高騰、生活者の生活消費財は高騰し企業の利益を圧迫し赤字の企業が続出している。生活者は賃金上昇が稀有に引きあがらない。何故こんなことが発生してしまったのか。一つには需給バランスの供給過多にある。日本は長年のデフレ下で、市場にモノがあふれモノの価格はどんどん引き下げられた。と同時に賃金も合理化の下で削減せざるを得ない環境となった。人口は少子高齢化で超高齢者社会へと移り変わり、日本国内は経済縮小時代へ突入した。政府はデフレ脱却の為に市場にお金をばら撒いた。日本政府の借金は世界でも類を見ない超借金国となってしまった。その片棒を担ったのが日本銀行である。政府が発行する日本国債を市中銀行に買取らせたのち日銀の資産として受け入れた。市場にジャブジャブあったお金は庶民にはいきわたらず、金融資源として世界を駆け巡っている。世界では金融ジャブジャブで悪いインフレが発生し、金融引き締めの為の金利の引上げが急激に行われた。金利が引きあがると債券市場では債権の実質価値が引き下がる。そうなると発券された日本国債等の価値は引き下がり実質含み損が発生することとなる。日本政府が発行した日本国債の含み損は益々拡大する。更に外国投資家からの円売り攻勢に対し、低金利で抑えてきた日銀の金利政策に歪みが発生し、引上げざるを得なくなってきた。0.25%~0.5%~1.0%を許容の範囲とする日銀総裁の発表があり現在0.65%で推移しているが、金利が上昇すれば日本政府が支払う利払い費は急上昇する。住宅ローンも企業の借金も全てが引きあがる。日銀は前に進むことも下がることも出来ない八方塞で成す術がない。「金と株、同時高の胸騒ぎ(8月31日日経)」の記事がとても理解しやすい。其処には日本円を預貯金のままでは目減りしてしまう。資産をどう守るか防衛意識が個人の間で広がっている。日本円では金も株式も同時高となっている。金小売価格が1グラム1万円台に乗った。日経平均株価は33年ぶりの高水準となった。円(紙幣)は戦後一貫して強かった時代から53年ぶりの低さ。

 つまり、円の価値(円の信用)が急激に消滅してきている。そこで個人は金の現物や株式を購入し資産保全に動き出したという事である。

 かなり遅いですが、気づき始めたという事でしょうか。今からでも遅くはありません。対策は急務です。

有限会社レイバー経営者コラム「良い話・儲け話」
有限会社レイバー経営者コラム「円の価値が下がった」